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野生動植物の違法取引

野生動植物からつくられる製品の消費量は 20 世紀から急拡大し、その結果、多種多様な動植物の数が著しく減少しています。脅威に直面している動植物を保護し、持続可能性を確保するために、通称「 ワシントン条約 」(正式名称:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、CITES)では、各国の政府で協力し合い、希少な野生動植物の国際的な取引を規制するよう訴えています。しかし、いまだに希少な野生動植物の違法取引にかかわる人は少なくありません。2020 年だけでも、1,000 kg のセンザンコウのうろこや、196,000 kg の規制対象の木材が香港政府によって押収されています。これはほんの一例にすぎません。果たして闇市場はどんな問題をもたらすのでしょうか?

乱獲による個体数の激減

乱獲による個体数の激減

野生の動植物にとって最大の脅威に挙げられるのが違法取引です。例えば、珍しいペットとして捕獲されたり、牙や角、骨、殻、うろこ、くちばし、皮といった体の一部のために殺されたりして、個体数が激減し、絶滅の危機にひんしています。1 年間に殺される動物のおおよその個体数は次の通りです。

  • アフリカゾウ:年平均 20,000 頭
    過去 10 年間で個体数が 20% あまり減少しています。
  • センザンコウ:195,000 匹(2019 年)
    アジアに生息する 4 種類が絶滅の危機にひんしています。
  • トラ:年平均 150 頭
    野生のトラの生息数は世界でわずか 3,900 頭。アジアの多くの地域ですでに絶滅しています。
  • アフリカ大陸に生息するサイ:451 頭(2021 年)
    中でもキタシロサイは絶滅寸前で、わずか 2 頭が人間の保護を受けて生存しているにすぎません。

ここに紹介したほかにも、サイチョウやウミガメ、そしてホンコンイモリやミスジハコガメ、土沈香(香木の一種、学名:Aquilaria sinensis)といった香港の在来種が密猟や違法伐採などの被害を受けています。

ドミノ効果

ドミノ効果

中国の固有種、チャイニーズバハバ(ニベの一種、学名:Bahaba taipingensis)は、浮き袋を乾物の食材にするために乱獲され、1990 年代の初頭には希少な魚となってしまいました。そこで代わりにメキシコの海に生息するトトアバというニベ科の魚が狙われ、食材にするためにアジアに密輸されています。漁には「一網打尽」で魚を根こそぎ捕ってしまう方法を用いているため、トトアバの個体数が激減するだけでなく、網に巻き込まれたネズミイルカの仲間も絶滅の危機にひんしていて、今や世界でわずか約 10 匹しか生存していません。この 3 種類の生き物たちはいずれも現在絶滅危惧種に指定されています。この例のように、需要の強力な影響によって違法取引を生み出していることが世界的な問題となっています。また、1 種類の動植物が姿を消すことによって生態系のバランスが崩れ、私たち人類を含む他の動植物も危険にさらされることになるのです。

高すぎる代償

高すぎる代償

野生動植物由来の違法製品は漢方薬や栄養補助食品などとして売買されていますが、多くの場合、その効能については根拠のない俗説とされています。例えば、サイの角は人間の爪と同じケラチンというタンパク質でできているにすぎません。それどころか、もし何らかの病原菌が含まれていれば、感染症で健康を損なう原因ともなり得ます。また、装飾品や宝飾品に加工するために乱獲され、絶滅にひんしている動植物もいます。そのため、富や地位の象徴としてそのような製品を所持していること自体が犯罪組織の国際ネットワークの資金源となってしまっています。違法取引は動植物保護の基盤を揺るがすだけでなく、間接的に利益の損失にもつながっているのです。例えば、ゾウの密猟はアフリカの保護区を訪れる観光客の気持ちに水を差すことになるでしょう。調査によると、このような事例が原因でアフリカの観光業界は年間約 2 億香港ドルの損失を被っているとのことです。

その判断が大きな力に

その判断が大きな力に

このような製品が不適切なものだと認識する人々が増えています。例えば、製品を買う際に次のような正しい判断ができれば、このような野生動植物の違法取引を根絶できるはずです!

  • その製品の原料や原産地などを確認し、合法的に野生動植物からつくられた製品を選びましょう。
  • 絶滅危惧種からつくられた製品は買わないようにして、持続可能な代替製品を探しましょう。食材なら、魚の浮き袋の代わりにシロキクラゲやポークナックルを使った料理を楽しむといいかもしれません。
  • 自分の好みやライフスタイルを誰かに知ってもらいたいという方は、大自然を訪れて美しい野生の世界を観察できるエコツアーなどに参加してみてはいかがでしょうか。